第52話 作戦会議

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第52話 作戦会議

 飛び込むように店へ来たトゥーマとアキラだが、エリシャは入れ替わりで出ていく。  ドアから溢れる逆光を背に、 「……この勝負、私の勝ちね……」  颯爽と出勤していった。  莉子はとりあえず問題児がいなくなったことに安心するが、今度はエルフ3人が騒がしい。 「トゥーマ、アキラ、どうだろう。戦略はあるか」 「うーん、オレのフォロワー、エルフ少ないんだよなぁ」 「僕もなんですよぉ」 「エルフの方のフォロワーが少ないって、かなり、ヤバくないです?」  莉子の「ヤバい」の声に、靖がページをめくりながら、顔を上げた。 「莉子ちゃん、この世界にいるエルフなんて、少ないに決まってるんじゃないのか?」  その通りだ! そう言わんばかりの表情で莉子は目を開くと、 「エルフさんの絶対数が少ないんじゃないかって、靖さんが」 「「たしかに!!!!」」 「じゃ、オレ、さっそく告知するわ。マークなんにする?」 「そうだな……」  イウォールが人差し指を立てると、青い文様が浮かび上がる。  エキゾチックな文様だが、細い炎で描かれているようで、ゆらゆらとそよぐ姿が美しい。 「あ、それ、アール! なるほど、いいですね!」  2人はさっそくとそれを写メに撮り、準備を整え出す。  莉子は何がアールなのかわからず、まじまじと顔を寄せると、イウォールが笑う。 「魔術の文字に、同じ読みのアールという字があるんだ。これがそう。向こうの世界では、こういう文字をいくつも重ねて魔術はできている」  新たな一面を知りつつ、まさか店名と同じ読み方の文字が異世界にもあるとは、興味深い。 「いつか行って見たいです、異世界」  莉子が文字を見つつ、こぼす。  その視線をすくいあげるように、イウォールは莉子と目を合わせると、そっと髪をすいた。 「……それもリコの願いなら、叶えるよ。私が」  思わず聞き惚れてしまった莉子の背を、靖の声が叩く。 「莉子ちゃん、ランチお願いしていいかな?」 「……あ、はい。今日はパスタですもんね」  靖は再び本に目を戻しながら、 「……莉子ちゃんにも春がきてるねぇ……」  氷の溶けた水をおいしそうに飲み込んだ。
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