星降る夜

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星降る夜

私は、よくUFO を見ます。 写真を撮ろうとすると、消えてしまいます。 赤、青、黄色、キラキラ光っています。 UFOには、かぐや姫が乗っています。 彼女からテレパシーで語りかけられました。 「その身体を手離せば、貴女の魂だけを このUFOに乗せて、他の星に行けますよ」 この身体を手離す? 自分で自分の命を断つと言う事? 高所恐怖症の私はビルからのダイブは無理。 泳げない私は海にダイブも無理、無理。 別に泳げなくても関係ないかもしれないけど 苦しいのは嫌です。 電車に飛び込むのは、皆に迷惑が掛かるし、 車に退かれるのは、運転手さんに悪いです。 “そうだ、練炭にしよう” 近所の商店街に買い物に行きました。 金物屋さんで、七輪を買いました。 私が七輪を大事そうに抱えて歩いていると、 魚屋さんのおじさんが声を掛けてきました。 「その七輪で魚を焼いたら美味しいよ」 私は、魚を買って帰りました。 ワンルームの部屋で七輪で魚を焼いたら、 煙がすごいので、屋上に行きました。 七輪で焼いた魚は、魚屋さんのおじさんの 言う通り、すごく美味しかったです。 “明日は、お肉屋さんでお肉を買って来よう” 空には沢山の星がキラキラと光っています。 「かぐや姫さん、ごめんなさい。 私は、この星が好きです。 他の星には、行きません。」 テレパシーが通じたようです。 それから私は、UFOを見なくなりました。 星降る夜に思い出すのは、 最近使わなくなった七輪です。
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