たとえ星が降らなくても

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「南雲、これ自分で買ったの?」 「そうだけど。なに?気に入らないなら、」 「そんなことない!すっごい気に入ったよ!ただ……」 『言ってもいいかな』という台詞が、彼女の顔に書いてある。 何か問題があったのだろうか。 「なに?遠慮せずに言えよ」 「こんな可愛いシュシュを南雲が選んでいるところを見てみたかったな、て」 「っ、おまっ……揶揄(からか)ってんなら、返してもらうぞ」 じろっと睨むと、奈菜は「からかってないよ!」と慌てた様子で首をブンブン横に振る。 「さ、さっそく使わせてもらってもいい?」 お伺いを立てるように、上目遣いに訊いてくる。 だ か ら!!その顔はやめろ。煽ってんのか? 俺の心の叫びなんて一つも気付かない彼女は、俺が「どうぞ」と言うとすぐに新しいシュシュでササっと髪をくくった。 「どう?星のチャームちゃんと見えてる?」 俺のほうに結び目を向けながらそう聞いてきた彼女に、「ああ、大丈夫」と答えると、「よかった!」と、嬉しそうな笑顔を浮かべて振り向いた。その笑顔に、俺は衝動が抑えきれなかった。 素早く彼女の唇をさらった。
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