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くそっ、完敗だ。
好きな女からこんなことを言われて、断れるやつがいたら見てみたい。
「しょうがないな……付き合ってやるよ。お前一人じゃ、どれがどれだか分かんないだろうからな」
「もうっ、素直じゃないんだから……」
呆れたような声でそう言った彼女は、くすくすっと小さく笑ってから俺を見上げる。
そして輝くばかりの笑顔を浮かべた。
「ありがとう、南雲」
このまま雨が止まなくても問題ない。
たとえ星が降らなくたって、いつだって俺にはおまえの笑顔がキラキラ光って見えるから。夜空に瞬く星よりずっと。
(今度どっか星を観に連れてってやるかな)
満点の星空の下で、降ってくる星に手を伸ばす彼女を思い浮かべる。
輝くような笑顔を浮かべた彼女の隣で、俺は俺だけの星をずっと見ていたい。
そう思った。
【了】
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