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新婦から両親への手紙
アナウンサー……「大人の事情により、キャンドルサービスから余興までの一
連の流れを割愛させていただきます。それでは、ここで新
婦からご両親へお手紙です」
新婦……「お父さん、お母さん。生まれてこのかた26年間、本当にお世話に
なりました。お父さん、お父さんはいつも部屋に閉じこもって、何
かを一所懸命にしていましたね。お母さんは、お父さんは何がした
いんかわからん。いっつも部屋から出てこずにとぶうたれていまし
たが、私はそんなお父さんの後ろ姿を尊敬の眼差しで見つめていま
した。大学に入って、私もお父さんそっくりの男の人を見つけまし
た。それが、今隣りにいる◯◯さんです。◯◯さんは、部屋にこも
ってドアノブを舐めることが好きなんだそうです。お父さんは……
何をしていたんですか?(苦笑)お母さん、お母さんはお父さんと
違って、外出することが大好きでしたね。よくショッピングに動員
されたことを覚えています。お母さんは、本当にアクティブでした
。2人で釣り堀に行った日を覚えていますか?なかなか魚が釣れな
くて半泣きになっていた私を見て、面倒だとお母さんが釣り堀に飛
び込んだのを昨日のことのように鮮明に想起することができます。
優しい自慢のお母さんです。お父さん、お母さん。これからも、お
互いの世界観を大切にして、仲良く生きていってください。今まで
本当にありがとう!」
礼して、新婦下がる。
アナウンサー……「これにて、◯◯家◯◯家両家の披露宴をお開きとさせてい
ただきます。御臨席くださいました皆様、どうか気をつけ
てお帰りになってください」
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