新婦から両親への手紙

1/1
前へ
/5ページ
次へ

新婦から両親への手紙

アナウンサー……「大人の事情により、キャンドルサービスから余興までの一          連の流れを割愛させていただきます。それでは、ここで新          婦からご両親へお手紙です」 新婦……「お父さん、お母さん。生まれてこのかた26年間、本当にお世話に      なりました。お父さん、お父さんはいつも部屋に閉じこもって、何      かを一所懸命にしていましたね。お母さんは、お父さんは何がした      いんかわからん。いっつも部屋から出てこずにとぶうたれていまし      たが、私はそんなお父さんの後ろ姿を尊敬の眼差しで見つめていま      した。大学に入って、私もお父さんそっくりの男の人を見つけまし      た。それが、今隣りにいる◯◯さんです。◯◯さんは、部屋にこも      ってドアノブを舐めることが好きなんだそうです。お父さんは……      何をしていたんですか?(苦笑)お母さん、お母さんはお父さんと      違って、外出することが大好きでしたね。よくショッピングに動員      されたことを覚えています。お母さんは、本当にアクティブでした      。2人で釣り堀に行った日を覚えていますか?なかなか魚が釣れな      くて半泣きになっていた私を見て、面倒だとお母さんが釣り堀に飛      び込んだのを昨日のことのように鮮明に想起することができます。      優しい自慢のお母さんです。お父さん、お母さん。これからも、お      互いの世界観を大切にして、仲良く生きていってください。今まで      本当にありがとう!」 礼して、新婦下がる。 アナウンサー……「これにて、◯◯家◯◯家両家の披露宴をお開きとさせてい          ただきます。御臨席くださいました皆様、どうか気をつけ          てお帰りになってください」
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加