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会社から徒歩圏内にある、2人の新居になるマンション。
結婚を決めた時、丁度拓真の部屋の更新が近かったので、思いきって引っ越した。
家賃はそれなりにするが、激務によりプライベートの時間がなくなるなら、通勤時間の短縮と2人の時間確保の為には、良しとした。
その近くにあるラーメン屋さん。
「疲れてる優花には、ニンニク増し増しね」
拓真は食券を買う時、トッピングもセレクションしてた。疲れてるの見抜かれていたか。
でも、
「…キス出来なくなっちゃうよ」
背伸びして小声で、拓真の耳に囁く。
「ん、大丈夫。僕もニンニク増し増しにするから」
そう言うと、私の耳元に顔を寄せ
「今夜、頑張る為にさ」
ニカッと笑う、悪戯小僧みたいな拓真。
長身の彼は、良く食べる。
さっきも替え玉を注文してた。
生っ白いイメージだった彼が、腹筋が割れてる細マッチョだと知ったのは、付き合い始めてから。
マンションのエレベーターの中で、
「拓真はズルい、一杯食べても太んないだから!結局式までに、そんなに痩せれなかった…」
と文句をぶちまけた。
一応、糖質ダイエットやらスロトレやらやってみた。だが目に見えての効果は得られなかった。
「良いの!健康的な優花が好きなんだもん」
拓真に後ろからハグされ、両頬にキスの嵐。
降りて直ぐの部屋なので、エレベーターの中でキーを探す。
部屋に入るなり、本格的なキス。
「優ちゃん…」
この呼び方をする時の拓真は、デレデレに甘えたになる。
どうしても恥ずかしいからと、いつも光量は落として貰ってるが、
「優花のモチモチな触り心地、大好き!」
と言って、全身こねくり回す。
甘い童話の中の王子様みたいな彼が、一枚一枚服を脱ぎ、私を見下ろす瞬間。
優しい彼が、意地悪な雄の顔になる瞬間が好きだ。
補食される。
彼の糧になり、余韻と1日の疲れが混じり合い、急に瞼が重くなった。
満たされた拓真の腕の中で、私は眠りについた。
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