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もう一回拓真の横になり、寝直そうとしても、頭がグルグルして駄目だ。
拓真が体勢を整えながら、私に腕を回す。
目蓋を閉じてる拓真を凝視する。
色素が薄いのか、髪の毛も茶がかってる。
肌の色も薄い。陸の青白さとは又違う色白さ。
恋人になって初めて分かったが、瞳も少し茶色い。
私には昨日の記憶がある。
拓真には無い。
「あっ!」
「何、又~」
耳を塞ぎながら、拓真が顔をしかめる。
ビックリかも知れない。
拓真が演技をしてて
携帯も何か仕掛けがある。
私は結婚式の翌日だし、月曜日を休みにした事は拓真に伝えてあった。
このまま拓真と役所に行って、もう既に籍に入ってるじゃんってオチだ。
何となく腑に落ちて、拓真の鎖骨辺りに頭を寄せた。
「…もう、優花ったら」
ぎゅっと抱き締められて、その温かさに安心した。
おかしい。
月曜の感じじゃない。街が働いてない。
職場に近い拓真のマンションから、いつも行くカフェに移動中だ。
あの後、何だかんだイチャイチャしたので、外出する時はランチの時間になった。
そこも土曜日と同じだ。
だが拓真のビックリで、今日が本当は月曜日なら、この時間もっと人通りがある。
今、見回すと、休日の昼下がりの雰囲気。
この辺りは、オンタイムとオフタイムがガラリと違う。
カフェのテラス席に座った。
確かに土曜日も、この席だった。
「ん~どうしようかな?エッグベネディクト食べたいけど、卵2個は多いし」
…土曜日も同じ事言ってた。で、
「『優花、ナポリタンと半分っこしよ』」
ハモった。
「何ナニ~優花も半分っこしたかった?以心伝心っ」
満面の笑顔の拓真。
普段ならクラっとくる、その笑顔に頭が痛い。
無言で食事をしてる私とは反対に、式の事や今後の家庭生活のビジョンを語り、ハイテンションな拓真。
「優花?どしたの、マリッジブルー?」
一昨日も拓真は、心配そうに尋ねてきた。
実際私は、本当にそうで食が進まなかった。
今は別の理由で、食欲が湧かない。
何なんだこの既視感…気持ちが悪い。
既視感というより一昨日あった事をリピートしてる?
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