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DAY1
ああ、これは夢なのか?
ベッドの上で、拓真の顔を間近に見ながら優花は、長いタメ息をついた。
愛する人と昨日、結婚式を挙げた。
沢山の祝福を受け、夢みたいな1日だった!
…二次会の最後にオオコケしなければ、最高の1日。
挙式の為、朝早くからのホテルに入り、着付けやらヘアーメイクやら私は大忙しだった。
式、披露宴、二次会と緊張MAX状態が続いた。
緊張感を和らげる為、
全く知らない拓真の親戚や友人、私の両親の仕事上の付き合いの人達からの視線を誤魔化す為、
ついつい苦手なお酒を、昨日はトータル結構飲んだ。
二次会の最後には、フラフラしてたと思う。
私が倒れる時見た拓真の心配な顔と、彼の細いガッシリとした腕を掴んだ感触だけは思い出す。
直後の強烈な痛み。
その後は、記憶にない。
ふと思いつき、頭に手をやるが痛くない。
あんなに派手にひっくり返ったのに。
それに此処は拓真の部屋だ。
二次会の後は、挙式を挙げたホテルに宿泊予定だった筈だ。
そこから、会社に…
「!、拓真、起きて会社!」
目覚まし時計を見ると、かなりマズイ時間。
大急ぎで準備しないと、
「う~ん、何言ってんの?優花…今日は休みでしょ?」
布団を剥ぐと、いつも通りの彼の寝姿。
寝る時はランニングにパンツという、一緒に朝を迎える前は知り得なかった拓真の習慣。
正直、今でも目に毒だ。
朝ダチしてる時もあるし…
「えっ?休み取れたの?」
吃驚だ。
彼は4月から月~金の平日昼枠を任され休みはカレンダー通りだ。
「…何、言ってんの?今日は婚姻届出しに行く日でしょ?…もう少し寝かせて…」
又、布団を被り直す彼。
「それは、一昨日の事でしょ!
今日は月曜日!」
もう一回剥ぐと、
「優花こそ、寝惚けてる…」
拓真は手を伸ばし、ベッド脇のサイドテーブルから携帯を取り上げ、私に見せた。
「!?」
彼のスマホの画面には、デカデカと日時が表示されている。
それは、結婚式の前日だった。
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