偽装恋人 〜富豪の娘と庶民の息子の間にある溝は埋めがたいようです〜

6/9
前へ
/9ページ
次へ
「同棲って……」 「ああ、だってそれくらいしないと、お父さまが認めないもん。心配しなくても、お父さまたちも一緒だから二人っきりじゃないよ?」  それはさらに心配ですけどね。  そのお父さまは、聞くかぎりどう考えても恋人の存在を嬉しがっていない。  そんな人と一日中――いや、夏休み中一緒というのはもはや拷問の類ではないだろうか。  いや、それ以前に、いくら豪邸と言っても一軒家であろう、女子の家に泊まりに行く?   それも夏休み中?  明らかに異常であるとしか思えない。  この話、断ろうかな――。    僕がそう考えていることすらも、見透かされていたのか。  櫻小路さんが近寄ってきて、上目遣いでこちらを見上げた。 「だめ?」  …………それは反則だ。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加