星降る夜に

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 床にはゴミが散乱している。あの浮浪者達の仕業かもしれないと考えたが、彼らがここまでやって来る理由はないように思われた。  耳には不自由な風の音と、ホーム中程にある自販機のジリジリという稼動音が届いている。  私は線路間近の黄色い点字ブロックの前に立ち、電車を待った。  電車はいつまで経っても現れなかった。到着しなければならない時刻を過ぎても、次の電車がやって来る時刻になっても。  不審に思い、天井に下がっている電光掲示板へ目をやる。しかしそこには何も映っていなかった。  そこで私は、今日は電車の運行がないのだという事を思い出した。それなら電車がやって来ないのは当然の事である。  しかし、だとすれば今朝、私は一体どうやってここまでやって来たのだっただろうか。  思い出そうとしてみたが、その記憶は私の中には残っていないようだった。  どうあれ、動いていない電車をいつまでも待ち続けていても仕方がない。奴らにもう一度会うのは気が引けたが、私は駅の構内へ戻る事にした。  改札の前。浮浪者達は身を寄せ合うようにして固まっていた。  膝と肘を床につけた芋虫のような格好で、お互いの顔を突き合わせ、ボソボソと何かを語り合っている。泣いている者もいるようで、時折鼻を啜る音も聞こえてきている。  先程の陽気さとは打って変わった様子が気になった私は、奴らへ声をかけた。
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