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炒飯とスープをお腹に収めると、カーテンの隙間の外が少し明るくなっていることに気がついた。カーテンを開けてみる。いつの間にか雨は止んでいた。太陽が昇り始めていて、瑠璃色の空に浮かんだ雲が赤く染まっているのが少しこわくて、でも美しかった。
「世界が終わるときの色だ」
そう思った。優はわたしの頭を引き寄せた。ぴたりとくっついた体の右側が温かい。
「ただの朝焼けでしょ。いつもきっとこんな色。見たことないけど」
「ふうん。そっか。でもすごく綺麗。今まで見たことなかったのがもったいないくらい」
「うん。でも千世は朝早く起きれないからな」
「また……見たいな」
「うん」
話している間にすっかり姿を現した太陽は眩しく、目を刺すような光に涙が零れた。空はすっきりとした水色に変わっていた。
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