◇001/先を見通そうとする者

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『南エリア3高所より通達、敵、南エリア3Dにて確認』 『南エリア3狙撃、了解』 『南エリア5狙撃より通達、敵、視認せり。狙撃したが南エリア1F方面へと移動』 『南エリア1前線、了解』 『南エリア2前線より通達、敵、狙撃。被弾確認完了』 「拠点了解。残り14人」 『補正了解。現状このまま進めて下さい』 『南エリア1前線より通達、味方1名被弾確認及び、敵1名被弾確認!』 「拠点了解。残り13名。拠点より南エリア1・2・3前線に告ぐ。──」 無線を介し、拠点と各員の報告と指示が飛び交う。被弾した兵士はもう演習行動も無線介入も出来ない。時間が経つにつれて、少しずつ無線が減って行く。 『補正より。ターゲット候補を確認。拠点、動いて下さい』 「拠点了解」 無線が入り、リアンが腰を上げた。伽羅色の髪を隠すかの様にフードを深く被る。普段は持つ事をしないライフルを手にした。 「アイゼン、僕はどうしても勝利判定が欲しい」 「…あぁ、わかっている」 「だがそれは僕の手でも皆の手でもなく、アイゼンの手で取った勝利判定が欲しい。必ず来る。僕はサポートに回る。アイゼン、必ず取れ」 リアンは拳を突き出した。それに応えるかの様にアイゼンも拳を出す。こつん、と2人の拳がぶつかった。 「アイゼン、検討を祈る」 滅多に使わないライフルを持ったリアンは、拠点となるいつ屋根に積もった雪の重さで潰れてもおかしくない小屋から、外を警戒しつつ立ち去った。どうしても足跡が付くので直ぐに目的の場所には行かず、辺りを踏み荒らしてから予定していた待機ポイントへと移動した。 残されたアイゼンもフードを深く被り、テーブルらしき物を倒し簡易的なバリケードを設置した。その後ろ側へ移動し、息を潜める。ハンドガンと模擬ナイフとリアンから貰った呪符が1枚、それが彼の装備だった。 ──さぁ、来いよ。ユーディアルライト・グラス! ───────────────────────
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