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ぼくは、綾香の死体を草の上に横たえた。
セミロングの黒髪が、放射線状に広がりながら、草の間に埋もれる。
草はペパーミント。丘の中腹に設けられたこのちいさな展望台には、一面にペパーミントが植えられているのだった。
綾香の体に押しつぶされて、ぺぺーミントのつんとした香りが立ちのぼる。
なんてすてきな香りだろう。
夜空には、細い三日月と、光の粒をまぶしたような一面の星。
ぼくたちの愛の儀式に、こんなにふさわしい舞台があるだろうか。
ぼくはかがみこんで、綾香の、もはや閉じられない目をのぞきこむ。ダークブラウンの瞳が、夜空の星を映していて、とてもきれいだ。
さあ、始めるよ。
ぼくは服をぬいだ。
綾香の清楚な白いワンピースのすそをまくり上げる。肉付きのよい太ももがあらわになっていく。下着は家で脱がしてきた。死んだ綾香は、もちろんぴくりとも動かない。
きみはもう、ぼくを拒否することはできないんだ。その見下したような目をぼくに向け、冷たい言葉を吐くことは、もうできないんだよ。
今夜、ぼくたちはひとつになる。
ぼくは裸の体を、冷たい綾香の体に重ねた。
ああ、綾香。
これが、きみとぼくの、愛の儀式だよ。
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