ジムインストラクター殺害事件

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ジムインストラクター殺害事件

翠達が来たのは、ごく普通の一軒家だった。 翠は、連れて行かれる途中どういう事件が聞かされていた。 殺されたのは、ジムインストラクターらしい。 (ジムインストラクターねぇ…) 中に入ると、翠は反射的に目を瞑ってしまった。 (眩しい……) この家の壁は不自然に真っ白で鏡が多かった。 (これのせいかな) 翠はそっと鏡に触れる。 鏡は指紋1つない綺麗なものだった。 横では、絵梨と南も眉間に皺を寄せ目を細くしていた。 リビングと思われる一室に入った時、うつ伏せになっている大男の横に、刑事らしい人物が立っていた。 『西村さーん、こんにちは!』 南と絵梨は知り合いなのか、西村という名を呼んでいる。 「お、絵梨ちゃんに南じゃねーか」 西村と呼ばれた刑事は、手を振りながらこちらに近づいてくる。 「また事件ですか?」 「そうなんだよなぁー__ってこのお嬢さんは?」 今時、お嬢さんと呼ぶ人がいるとは__。 翠はそんなことを考えながら西村に会釈する。 「この子は、立華翠ちゃん。さっき日向であった女子高生です!」 何故か自信ありげに胸をぽんと叩いて、絵梨が説明する。 「ふむふむ、あ、俺は西村。こう見えて刑事なんだぜ」 こちらもまた、何故か自信ありげに自己紹介する。 「……よろしくお願いします」 「しっかし、この子BtCに入るのか?」 「いやー、どうでしょうねぇ」 と、翠以外の3人は談笑する。 (びーてぃーしーとは何ぞや) 翠としては気になるところではあるが、今は事件だ。 翠は西村にどんな事件か尋ねてみる。 「…それで、事件とは何なのでしょうか?」 「あぁ、そうだった。」 西村は翠が事件について聞くことに抵抗が無いようですんなり話してくれた。 「今回の事件、被害者は幸村勝。ジムインストラクターで、そこそこ人気があったみたいだ。性格は温厚。客とも同僚とも家族とも、関係に亀裂があるようなこともなかったらしい」 「なるほど……」 というか、その情報を見ず知らずの、さっき出会ったばかりの翠に教えていいのか、疑問に思うことだが何も言わないでおく。 「凶器は何ですか?」 「凶器はこれだ」 そう言って、西村は石で作られた時計を手に持つ。 見た感じ重そうだ。800グラムくらいはあるだろう。 「実際血が付着してるし、僅かにここが欠けてるから間違いないだろうよ」 「重そうっすねー」 「持ってみるか?」 そう言って西村はひょいと軽く投げ南に手渡す。 (いや、それ凶器なのでは……?) 翠は"この刑事大丈夫なのか"という目で西村を見るが本人は気づいていない。 「それで…、容疑者はいるのでしょうか?」 「ん?あぁ、容疑者は3人。 1人目は、卯月凛。被害者の元恋人らしいが、現在は今の彼氏と同棲中で結婚も約束しているらしい。 2人目は、龍宮吾郎。被害者の職場の先輩だ。仲は悪くなかったが、以前金銭を巡ってトラブルがあったらしいが、今はもう解決しているそうだ。 3人目は、戌井光。被害者のお得意様だったとか。特にトラブルはなかったが、虎田の妻が以前、被害者と恋人関係にあったと聞いている。」 西村が説明し終えると、翠は、なるほど、と言って部屋を見渡す。 絵梨と南は何やらうんうん唸っている。 「なんか微妙だねー」 「関係性がってことっすか?」 「うん、それぞれトラブル解決してるとは言ってるけどなんか怪しいような気がする」 「だから容疑者候補なのでは?」 南は呆れ顔だ。絵梨は眉間に皺を寄せながら唸る。 「ん"ー、やっぱそうなのかなぁ…」 絵梨は窓の方を見ながらうんうん唸っていた。
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