One day three years later

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運転席のドアが開いた。 顔を向けると、蓮次が乗り込んで来た。 「お待たせ、ありがと」 「早かったな」 「駐禁とられるのも、円に運転させるのも嫌だったから急いだ」 「失礼だな、おい」 シートベルトを着けながら、蓮次は俺の方へと首を捻って言った。 「円」 「うん?」 「なんか笑ってる?」 「ぇ?」 「何でそんな笑顔なの?」 微笑んだ蓮次がハンドルを握る。 「ぇ?笑ってないよ」 ふぅん、と呟きながら、蓮次が車をゆっくりと動かす。 蓮次が前を向いたまま言った。 「やっぱりなんか笑ってるじゃん」 「いや、別に」 「別に、何?」 「幸せだなって思っただけ」 「そうなの?変な円」 そう言って、蓮次も笑った。 車は花屋の横を通り過ぎていく。 そのまま。 俺達は遅めの朝食へと向かって行く。 想った。 君の中で、俺のことは笑い話にはなっただろうか。 笑い話になどならなかったとしても、もういいよ。 きっと、幸せになったのだろう。 創護、君も。 そして、俺も。 fin.
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