ちょろいオッサン

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 一瞬支えた肩が思ったよりがっしりしていた。背を向けたリョウのズボンの上からでもわかる張りのあるお尻に、徹也はなんとしてでも脱がせたいという気分になった。  後ろからそっと包み込むように抱いて、チャックを開ける。 「だ、ダメだよ、だ、んっ」  言葉と裏腹にリョウはなすが儘で、再び取り出されたそれが優しく握られると、気持ちよさそうに息を漏らした。 (やっぱ、この感じ、ちょうどいい)  腕の中にすっぽりと納まる感じで具合がいい。 「き、汚いよ」  ため息交じりの抵抗の言葉は徹也に好都合でしかない。 「だからシャワー」  押し込むように風呂場へ連れて行った。 (ちょろい)  ほくそ笑む。  バストイレが一緒で、洗面台側は一面の鏡。リョウが鏡を見ないように湯舟の方を向かせて、後ろからズボンとパンツを同時に下げた。 「や、あ、じ、自分で」  次いでシャツの裾を掴んで脱がそうとしたが、リョウはそれを両手で押さえて、下腹部を隠すように引いた。 「これも俺の仕事の手順なんだから、任せてよ」  自分で動き始めたら、今、流されてこの状況なのだと気付くはずだ。そして帰ってしまうだろう。  ズボンを足から引き抜いて、靴下も脱がせる。それらを手際よく軽くたたんで、洗面台の脇におく。そして改めてシャツに手をかけた。 「腕、あげてください」  リョウはためらいがちに掴んでいた手を放し、少しだけ腕を浮かせた。すかさず一気に引き抜く。 「良い身体してますね! 何かスポーツやってるんですか?」  徹也が絶賛すると、首の後ろが真っ赤になった。  背中の筋肉がしっかりついていて肩にも筋肉がある。わき腹がちょっとつまめる感じなのが中年の気配を感じさせるが、お尻もふくらはぎもプリッとしている。全身を使うスポーツをやっていたのだろう。 「若いころに柔道をね、今は全くしてないんだけど」 「すごい」  内心ビクビクしながらほめる。リョウが本気で抵抗する気があれば、細身の徹也は全く太刀打ちできないだろう。  眼鏡をはずさせて、湯舟に促す。 「さ、浴びて」  シャワーのコックをひねって、お湯の下に誘う。  徹也もさっと服を脱いだ。 「え、君も?」 「これがノーマルコースの手順なの」
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