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星崎小夜…元親友の、同じマンションに住む幼馴染み。
近所でも評判の美少女であり、学校でのポジションは、いじめられっ子。
顔だけ可愛いってだけの、典型的なダメ女。
英語、数学、国語、社会、理科、その他の副教科全て赤点を取る劣等生の上に極度のコミュニケーション障害者だが、見た目は美少女なので、複数の男子たちに言い寄られて、それを逆恨みした一部の女子から、毎日のように嫌がらせをうけている。
これだけ聞けば、ただの可哀想な女の子だが、彼女を助ける人は男子を除けば一人としていない。
それは、女子がいじめて、男子が庇う。そして逆上した女子がさらに酷い嫌がらせをする。この悪循環が定着しているからだ。
理由は、庇ったら逆に小夜が酷い目にあってしまう、ということを毎日間近で見せつけられているため、下手に刺激しない方がいい、というのが建前。
男子はともかく女子の自分が庇ったら、今度は自分がいじめられてしまうのが怖い、ということが本音だ。
とにかく、下手に関わって良いことはないという共通認識は、皆一様に持っているのだ。だから誰も助けようとしない。もちろん、私も。
しかし、元親友がいじめられている様を見るのは、決して良い気分ではない。
しかし、それだけの理由で公認のいじめられっ子を庇うというのは、あまりにも無謀な行動だ。
中学校を楽しい思い出のまま卒業したければ、見て見ぬ振りをするしかないのだ。
私は間違っていない。そう言い聞かせているうちに、視界の端には学校が見えてきた。
元気よく挨拶する教頭と、生徒に睨みを効かせている生活指導をスルーして、3年B組の教室へ入った。
「おはよー」
ドアを開けると、何人かの生徒が振り向いて挨拶を返してくる。
「まひろ、おっはよー」
そして、元気よく二つ結びを揺らした、15歳の平均身長よりも遥かに小さい少女が飛びついてきた。
彼女は椎名 舞、三年生になってからの友達であり、これにあともう1人、新庄 弥生という少女が加わっていつもの仲良しメンバーは完成する。
しかし、弥生の姿が見当たらない。
「弥生、どうしたの?」
「知らなーい、トイレじゃない?」
あっけらかんと答える舞。
「そっか、じゃ私たちも行こ!」
「うん」
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