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しかし、それを破ってくれたのは弥生だった。
「でもさ、星崎も星崎だよね?馬鹿のくせに男子たちたぶらかしてさ、あれじゃ反感買うのも無理ないよ」
すると、舞もそれに便乗した。
「だよね、だよね、脳みそがピーナッツくらいしかないからさ、みんなに嫌われるようなことしかできないんじゃない?そのせいでストーカーとかされたらしいし」
「え?星崎追っかけるなんて頭大丈夫?そいつも脳みそピーナッツなんじゃない?」
「ピーナッツもないよ、プチトマトくらい?」
「それ同じじゃない?」
ひとしきり話して笑い合う二人。
いつもは大好きな二人なのに、何故か一瞬醜く歪んで見えた。
自分だって同じような意見を持っているのに、彼女らの会話に入っていくことを躊躇うのはどうしてだろう。
悪口を聞いて、胸がチリチリするのはどうしてだろう。私はもう、小夜の親友じゃないのに。
自分の胸元に手を当てて考えていた。なんとなく肩身が狭くなって、猫背気味になっていると、いきなり背中に強い衝撃を受けた。
「わっ」
驚いたせいで、つんのめってしまった。
すぐに顔を上げると、目の前にはいつもの二人がニコニコと笑っている。
「まひろ!そんなに苦しそうな顔しない!
あんたが気にすることなんてなんもないんだからさ!」
そう言って、私に手を差し伸べる弥生。
「ぅ、うん。そうだね」
私は笑顔を作ってうなづいて、彼女の腕を掴んだ。
「もうホームルーム始まるよ」
そう言いながら走ってゆく舞を、弥生と一緒に追いかける。そうすると、もうさっきの胸のモヤモヤは消えていくようだった。
そうだ、私は何も気にしなくて良い。悪いことなんてしていないのだから。
過去に囚われずに、私は私の好きなようにすればいいのだ。
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