ミハルと雨

3/3
前へ
/3ページ
次へ
三匹は嬉しそうに笑いながらミハルのそばにやってきた。 「あめかみさまね??」 「いたねえ、あめかみさま!」 「わぁい!!」 ミハルは耳を疑った。 「え…アメカミサマ…??あたいが…??」 三匹はぴょこっとおじぎをして言った。 「来てくれたから雨ふったよ!」 「ぼくたちのとこも雨ふらせて?」 「いこう?来て!」 その時、外にいたミハルに叔父が気付き、急いでミハルに言った。 「ミハル…!外いちゃなんねぇ…!!誰かに見られたら……」 「おいちゃん…あたい……」 「…!!き、きつねにたぬきが、べべ着て…お前が言った通りだ…!」 驚く叔父のことも気にせず、三匹はミハルに言った。 「いっしょいこ?手伝って〜!」 「このおじちゃんもくる?」 「なかよくいこうね〜。」 「…あたい…行ったら嫌われない…?」 不安そうなミハルの問いに、三匹は笑って言った。 「なんで?なかよくしよ〜?」 ミハルはそれを聞いて、叔父にしっかりとした口調で言った。 「おいちゃん、あたい、この子達と行きたい!なんか役に立てるなら手伝いたい!」 「お前…。……んだな、ここいるより良いかもしんねぇ…行くべ!」 嬉しそうにしてミハルをどこかに連れて行こうとする三匹に、ミハルもなんだか嬉しくなった。その様子を見た叔父も、ずいぶん久しぶりに見たミハルの嬉しそうな笑顔に安心し、優しく笑った。 ミハルと三匹は手をつなぎ、ミハルの叔父も共に、そのまま姿を消した。 そして何年もたった。 村はほど良い天候が続いていたが、あるときから雨が降らなくなった。秋には作物も取れず、 毎日吹くカラカラに乾いた風に、村人たちはすっかり弱っていた。 ある日、広大な畑の上の空に、美しい身なりの少女が、何匹かの動物を引き連れていきなり現れた。 「なんだ!?妖怪か!?」 見つけて驚いた村人たちの前で、少女はスッと顔を上げた。 「…ミハル……!!」 少女は目を閉じてゆっくりと両手を掲げた。すると…… ザ〜〜ッ!! いつの間にか厚い雲が広がり、雨が降り始めた。 「あぁ…雨だあ!!ミハル、来てけたのか!!」 少女は整った顔に笑みを浮かべて、人々を見た。 「私、前まで力が抑えられなかったから、皆に迷惑かけて…。本当にごめんなさい…。」 彼女が謝ると、連れていた動物たちが言った。 「美春様〜、行こ〜!」 「春の準備に行こ?雪のあとにキレイな春を呼べるように!」 「うん…!」 嬉しそうに返事をすると、少女はまた動物たちを引き連れて消えた。 「『美春』…そうだったのか……」 その村は次の春、雪解けのあとには水が綺麗に満ちて作物や草や花々が咲き誇り、その名の通り、美しい春を迎えた…
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加