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「痛い!」
左手に刺すような痛みが走った。
――手を付いた時に、近くにあった――石で掠ったらしく。
手の平に血が滲んでいた。おれは震えた。湿った冷たい空気、怪我――友達に置いて行かれた。
小学生なら、この状況でないても仕方ないことだと思っている。
遊び慣れた森でも、夜になるとやはり怖い。落ち葉を踏む音も怖い。
――なんで、みんな。おれを探してくれなかったんだよ……
鼻をすすりながら、おれは懸命に歩いた。
カサ、カサ……
おれは立ち止った。恐怖から感覚が敏感になっていたのかもしれない。自分のではない落ち葉を踏む音、それは後ろからした。
おれはそっと振り返ろうとした。
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