第十二章 碧と碧

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 その夜、あかりの灯った部屋を見上げて不思議な気持ちになる。消し忘れた訳では無いその部屋には誰かが待っているという合図なのだから。扉を開けると丁度玄関で靴を履こうとしていた藍稀がいた。  「ただいま。もう体調は良いのか?」  「はい!丁度良かった、何も言わずに帰るのもと気になっていました。明日からは学校にも行けると思います」  「そうか」  「あの、簡単なもの作っておきましたから食べてください。」  「ああ」  「どうかしましたか?」  「いや、何でもないよ。送ろうか」  「この時間なら電車の方が早いですから、ありがとうございました」  まるでちょっと遊びに来ましたとでも言うようなに「お世話になりました」と藍稀は帰って行った。気がついてはいなかったが携帯には藍稀からのメッセージが届いていた。「明日から学校に行くので帰ります。ありがとうございました」それだけの短いものだった。
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