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第十一章 薄碧い
消化不良をおこしたような気分で木曜日を過ごし。言い訳をするのも変な話だと思いながら迎えた金曜日の夜。
会社を出たところで大きなため息をつくことになった。
「何してんだ?」
「待っていました」
笑顔の鈴木と対面して驚いた。なぜまたこんな目立つところに立っているのかと思うが、取り合ってもしかたない。「そうか」とだけ答えると、そのまま地下鉄の駅へと向う。鈴木は御園の直ぐ後ろに歩を揃えてついてくる。話しかけて来ることはなくただ直ぐ後ろに並んで歩く。そして同じ駅で降りる。この先どうするのだろうかと思っていたら「では」とだけ言い残して夜の街に溶けていった。
「何だ?あいつ」
ひとり取り残されてぽかんとする。何のために待っていたのか。それ以上考えるのも馬鹿らしくなり、もう余計なことは考えないで休もうとマンションへと急いだ。
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