第十二章 碧と碧

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 月曜日の朝、藍稀を一人残して仕事に出た。寝ているだけですから心配しないで下さいと言われたがやはり気になる。何かメッセージでも来ているかもしれないと昼休みに携帯を確認したが何の連絡もなかった。無理はしないで寝ているようにとメッセージを送る。すぐに既読がついて「大丈夫です。大人しくしていますよ」と返ってきた。そんなやりとりに顔が綻ぶ。  「御園、昼一緒に行かないか?」  声をかけられ画面から顔を上げた。  「羽山?珍しいな。番犬は今日はいないのか」  「番犬?桜井なら出張だ」  「まあ、だろうな」  羽山と桜井、代わる代わるやってきては世話をやこうとする。隣のビルの1階にある背もたれの高い喫茶店に入る。店内はオフィス街から食事に来た人で混雑していた。奥まった席に座りランチセットを注文する。  「で?桜井から何聞いたの?突然のお誘いだけれども?」  「最近恋人ができたとか、紹介してくれないのかと」  「何をどう聞いたんだか」  「違うと俺は思ってるんだが。少しまずい相手ではないかと。本当のところはどうなんだ?」  「まあそのうちに紹介出来れば良いんだが、まだその時期じやないんだ」  羽山は少し黙り何かを考えているようだった。  「そうか、御園がそう言うなら待つよ」   この距離は有難い。踏み込み過ぎてこない。そして信頼してくれている。いつか紹介できる日が来るのだろうか。卒業までの猶予期間。そこまで待ってその先は今は考えないと決めている。どう転んでも良い覚悟だけはしておかなくてはいけないのだ。
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