マシュマロの彼女

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 またしても千世の通った声に、周りのテーブルから一斉に視線を浴びるも、周囲も二回目ともなれば意外とその環境に自然と対応出来るもので、すぐに何事もなかったかのような景色へと戻っていく。  「なんでえ? めっちゃいいアイデアやろ? てか、普通に今シたくなってんけど」  「は、え!?」  「帰ろ? 今日泊まれんねやろ?」  大きな目を千世へ向けながら上目遣い気味にその場で思いつきを次から次へと話す将生は、椅子の背にかけられている千世のバッグを掴むと、もう片方の手で千世の手を取った。  「ちょっ、ちょっと待って!」  「んー?」  「・・・ケーキ、食べるから」  テーブルの皿の上にはまだ二つ、手をつけられていないケーキと、直近で食べた食べかけのモンブランが残っている。
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