マシュマロの彼女

1/12
11人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ

マシュマロの彼女

 ショートケーキ、チョコレートケーキ、モンブラン、なめらかプリン、フルーツタルトにティラミス・・・テーブルを挟んだ久遠千世(くおんちよ)の目の前に座る男、滝本将生(たきもとまさき)は、皿いっぱいに乗ったその彩り豊かなケーキを幸せそうな顔で次々と自身の口の中へ放り込んでいく。  「あっ、このティラミスうんまあ!今日イチかもこれ!なあ!」  将生は千世に同意を求めるけれど、ケーキを食べているのは将生だけで、千世はただただ黙ってその光景を見ているだけだ。食べていないのだから味も感想も千世に聞くのは当然間違っている。  「・・・なにそれ嫌味?」  怪訝そうな顔を将生に見せる千世は、目の前のアイスコーヒーのグラスに刺さっているストローを、将生への苛立ちを込めてくるくると回す。するとそれに比例して、グラスの中の氷がカランカランと音を立てる。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!