番外編『赤い薔薇の騎士』3

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番外編『赤い薔薇の騎士』3

 その晩アーサーは子供の衣装を寝室のハンガーに吊って、満足気に微笑んだ。 「よし! これで準備万端だな!」 「……あの……一体なんの準備なの?」  僕はベッドの上でアーサーが買ってきてくれたクマのぬいぐるみを抱きしめながら、小首を傾げた。 「だから、あの坊やだよ。君と同じ日本からの小さなお客様のことさ!」 「あ! もしかして……メイくんのこと?」 「そうさ。あの子がまたここに、時を超えて遊びに来てくれたらいいな」 「……そうだね。あの日は朝になったら消えてしまって……寂しかったんだ」  アーサーもベッドに入り、僕を背後から抱きしめてくれる。  僕の寂しさを埋めてくれるのは、いつも君だよ。 「知ってるよ。瑠衣が寂しそうで見ていられなかったよ。でも今度は翌日の着替えを用意したから、きっと……泊まっていってもらえるよ」 「あ……そういうことだったの?」 「まぁ、それが理由の一つだ。もう一つは、俺の子供の頃の話をしたくて」 「どんな?」 「それは……さっき、おばあ様がさっき魔法をかけてくれただろう。だから直接会いに来てくれよ。子供の頃の俺に……夢で会えるよ、きっと……」 「夢?」  アーサーの手によってベッドに深く埋められ、額、鼻、唇と順番にキスを落とされる。  優しくて、甘いキスが好き。 「あの……だったら、夢を見るために早く眠らないと」 「そうだな。だから俺がぐっすり眠れるおまじないをかけてあげるよ」  優しい羽のようなキスは鎖骨をなぞる。  そのまま手際よくパジャマを開かれ、胸元まで下りてくる。 「あっ……」 「瑠衣……瑠衣……」 「あっ……そこはっ……」  僕の白い胸には、昨夜アーサーにつけられたキスマークが所々に点在していた。  そこを上書きするように、チュッと吸われる。  その刺激に僕の腰は過敏に反応し、ピクピクと小さく跳ねてしまう。    アーサーが、グッと体重をかけてくる。 「瑠衣……そんな顔して……感じているのか」 「……んっ、ん……」 「ここも……ここも……全て瑠衣の弱い所だ」 「あ……駄目。変になる……そこは……いや」  甘い抵抗をする手を優しく繋がれ、握られる。 「夢の世界でも、離れ離れにならないように、ひとつになろう」
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