勝敗の行方

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勝敗の行方

三日間のテスト期間を終え登校したれんげは、意を決して正門をくぐった。 各学年の総得点数一位から十位の生徒氏名が、昇降口付近の掲示板に張り出されているはずだ。 そこを通過しなければ校舎に入ることもできず、教室に入るまでには自ずと結果を知ってしまうことになる。 自分の名前があるかもしれない、という期待からではなく、湊と要のどちらが一位だったかが問題だった。 覚悟してくぐったはずの正門だったが、掲示板が近づくにつれれんげの足取りは自然と重くなる。 ついには立ち止まり、人波の中で邪魔な存在となってしまった。 「おはよう、れんげ。邪魔になってるよ。ほら」 腕を取られ人波を横切ると、心配そうに見つめる泉と目が合った。 「いずちゃん……」 「どうしたの? 見ないの? 結果」 「うん。なんか、怖くて」 笑ってごまかそうとするものの、頬の筋肉が引きつってしまう。 「一緒に見ようか。気になるでしょ?」 「うん、お願いします」 腕を組み掲示板へ近づくが、なかなか顔をあげられないでいるれんげを泉が促した。 「へえ、そうか。ほら、れんげも見てみなよ」 「ええー、やっぱり怖いよ」 俯いたままのれんげの肩に、重たい腕が乗せられ仰ぎ見ると、湊が泉に笑顔を向けている。 「おはよう、山下さん」 「あ、成瀬くん、おはよう」 「ちょっと、人を挟んで挨拶しないで!」 「じゃあ教室へ行こうか」 涼しい顔で微笑む湊を見上げて抗議した。 「え、まだ見てない」 「れんげ、私、先行ってる」 ヒラヒラと手を振る泉を、縋るようなれんげの声が追いかける。 「あ、待って!」 「お前も早くしないと遅刻になるぞ」 「そんなこと言ったって、怖いの!」 「お前、俺を誰だと思ってるわけ?」 片手で頰を掴まれて、ぐいっと正面の掲示板に顔が向けられた。 いきなり視界に飛び込んできた順位表から目を逸らすこともできず、最上部に「成瀬湊」の文字を探す。 「うそ……」 易々と見つかったその名前に感動して、れんげは瞳を潤ませた。 高慢な態度は、自信の裏返しだったのだ。 「嘘じゃねえだろ。しっかり見とけ。見たら行くぞ」 湊に手を引かれ、れんげはやっと校舎の中へと入ることができた。
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