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ズル休み
「はぁぁ」
ベッドに寝転んで、カーテンを開け放った窓の向こうを眺める。
昨日まで晴れていた空はどんよりとして、れんげの心を映し出しているようだ。
なんだか怠いと言って、学校は休んでしまった。
湊と顔を合わせてもどんな態度を取ったらいいかわからないし、告白のため呼び出される彼を見送るのも、正直辛かったから。
湊は告白されることについて何も言わないし、れんげも何も聞かない。
もちろんなんとも思わないのではなく、聞きたくても聞けないのだ。
胸にお気に入りの黒猫のぬいぐるみを抱きしめて、れんげはまたため息を吐いた。
スマホが通知音を鳴らし、れんげを呼ぶ。
メッセージは泉からで「風邪でもひいたの? 大丈夫?」と書かれていた。
仮病なのに心配してくれる親友に悪いと思いながら、れんげは「大丈夫」とだけ送り、ベッドにスマホを押し付けた。
* * *
「熱がないなら学校へ行きなさいよー」と言う母親の言葉に、れんげは重たい腰をあげる。
いつまでもズル休みしているわけにいかないのは、れんげも理解している。
「お弁当、れんげの好きなオムライスにしといたから」
「うん」
母親の笑顔に見送られ、れんげは学校へ向かった。
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