玉砕しまくり

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玉砕しまくり

「で、昨日で何回目だったのかな?」 親友の泉に問われ、れんげは項垂れて机に突っ伏した。 「16回目」 告白して玉砕した回数を告げると泉は目を丸くしてれんげを見下ろしたが、弁当箱を広げるスペースを確保しようと、すぐに頭をペチペチ叩いた。 「叩かないでー、頭悪くなるぅ」 「今さらー」 顔を上げ髪の乱れを直すれんげに、弁当を広げながら泉が口を開く。 「長所なんだと思うけど、よくめげないね。ある意味才能。もしかして天才かも?」 さりげなく皮肉られるが、れんげは気にもせず湊の席を眺めた。 さらっと辛口な泉とは昨年同じクラスになって以来もう馴れっこだし、とにかくポジティブでめげない事を信条にしているれんげが、彼女の言葉を一々気に病む事はなかった。 だからこそ泉も、れんげには遠慮なく言えるのだ。 昼休みになると湊はいつも教室にいないのだと知ったのは、一昨日のこと。 今日もまた、れんげが気づいた時には姿がなかった。 「もしかして妖?」 「誰が?」 隠しもせず、泉が怪訝な顔をする。 「いないんだよね、いつも」   れんげの視線を追って、泉は合点がいったように頷く。 「ああ。そう言えば、昼休みは見ないかもね」 「どこにいるんだろう……」 「探してみればいいんじゃない?」   泉の提案に、れんげの顔がパッと華やいだ。   「そうだよ、そうだよね!」 お母さんが言っていた。 100回プロポーズを断られてもめげないで、101回目でオーケーされるという話があったと。 それに比べたら16回なんてとんでもなく少ない回数だ。 慌てて食べたお弁当は途中だったが、急いで片付けるとれんげはすぐに湊を探そうと席を立った。 「行ってらっしゃい」 泉に見送られ、教室を飛び出す。 2年の教室を隈なく覗き、男子生徒ばかりの食堂へも臆せず入ってみたが、湊は見つからない。 他に思い付くのは中庭くらいで、れんげはそこへ向かってみたが、いたのはカップルや数人の女子生徒だけだった。 「どこにいるんだろう」 溜め息を吐いたところで、ポケットの中のスマホが震える。 早く戻れと泉からのメッセージに時刻を確認すると、昼休みはもう数分しかない。 れんげは大慌てで教室まで走った。
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