紫陽花の咲く

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 高く掲げた丸いお尻を割りひらいて、痛いほどに高ぶった自身を押しつけた。ローションでとろみを足し腰を推し進めると、あっけないほどすんなりと飲み込まれていく。 「あっ、ああっ」  今まで味わったことのないしめつけに葵登は思わず声を漏らした。キュウキュウと搾り上げられていく肉壁に何度もこすらないまま射精した。ビクビクと震えながらさらに動かすとズルリとゴムが抜けていってしまう。慌てて掴んで抜くと白濁したとろみがこぼれ、ノリさんのお尻の間を流れていく。 「出ちゃった……」  絶望的に呟くとノリさんは甘えるようにお尻を振って次を催促した。 「もう終わりでいいの?」  冷静になる暇もなかった。  慌てて次の袋を開けてたどたどしい動きで装着する。自分の指を咥え、口淫の動きで葵登を待つノリさんに獣のようにのしかかった。 「若いね」  衰えてることもなくいきり立つ雄の昂ぶりをノリさんは何度も受け入れてくれた。  体勢を変え抱き合ってキスを交わす。舌と舌を絡めあわせるとさらに好きな気持ちが溢れた。愛おしい。大切にしたい。気持ちよさを分け合いたい。  片足を抱えてさらに奥を突くと、ノリさんからは切ない声が漏れ始める。 「んっ、あ、ああっ」  動きに合わせてノリさんの上を向いた性器もユラユラと揺れた。まき散る先走りがノリさんの細い腹を濡らしている。  手を伸ばして扱きあげるとさらに内壁がうごめいた。感じてくれている。それだけで葵登を悦ばせた。先端からは止めどなくしずくがこぼれおちる。それをこすりつけながらヌルヌルと鈴口をいじると切なげに口をひらく。   「あ、あ、あ、あっ」  規則的に動かすとノリさんからも同じリズムで声が漏れた。葵登は歯を食いしばってそれに耐える。だけど限界はあっけなく訪れる。 「ノリさん……もう出ちゃうよ……」  首を振りながら逃れようとしても、高まる熱は葵登に絡まりついた。 「んっ、いいよ。おれもイきそう」  向かい合って足を折り曲げ広げさせた。深く挿入しうまくコントロールできない本能のままの動きにノリさんも合わせてついてくる。  ノリさんの筋張った手が自身の昂ぶりを扱きあげているのを見ると、もう我慢ができなかった。 「ノリさんもう無理だ……」  情けない懇願に、ノリさんが小さな呻きを漏らした。 「あっ、イク……」 「うあ……っ」  一瞬先に達したノリさんの体がビクビクと収縮し、それに絞り取られるように葵登も射精した。こらえようもなく勢いよく繰り返す放出は、収まるまでに時間がかかった。  冷え切った精液のたまったゴムや丸められたティッシュがあたりにいくつも散乱している。ゴロリと寝転がったままのノリさんにブランケットをかけると葵登はそれをビニール袋に拾って歩いた。  何度求めて達しても餓えたようにノリさんが欲しかった。半ば意識を失うように抱きつぶすまで離せなかった。  いつの間にか雷はどこかに去り、土砂降りの雨は静かな雨音に代わっている。しとしととした暗闇で葵登は静かに泣いた。  もうここにはいられない。  ノリさんが欲しくて、愛おしくて、自分のものにしてしまいたい。誰にも触らせず、誰にも会わせたくない。自分だけのノリさんでいて欲しい。  だけどそれは不可能だってわかっている。  この先、直と一緒にいるノリさんを見ながら暮らすなんて耐えられなかった。ノリさんが葵登に向けてくれる気持ちは恋じゃない。同情や憐憫、そんなものだ。  終わりにするしかなかった。  居心地がよくて幸せだった場所を自分で壊した。  きっとノリさんは今までと変わらないように接してくれるだろう。直に言わなければ何も変わらずこのままでいられるだろう。  だけど。  葵登にはそんなことはできない。嫉妬にかられ、いつかもっと最低な状態でこれを壊してしまうだろう。だから終わりだ。    
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