フォーエバー・アース

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フォーエバー・アース

「どうだ?! フォーエバー・アースの船は見つかったか?!」 「いえ、まだそれらしい船体は発見出来ていません!」  薄暗いブリッジに、唯ならぬ緊張感が漂っている。 「ちっ……! やはり簡単には見つからんか……。何しろヤツらのレーダー波シールドは国際宇宙開発局(うち)から流出した最新の技術だからな……」  船長(スキッパー)のジンは苛つきながら、満天の星空が広がる分厚い窓ガラスに顔を寄せた。  360度、何処を見渡しても暗闇に瞬く無数の光……。何しろ『ここ』は地上ではなく、地表から25000kmも離れた宇宙空間なのだ。  それも……。 「……ドローン衛星からも『敵機発見』の警戒警報は出ていないのか?」  レーダー観測の責任者であるカイトがドローン担当のショウに様子を聞くが、ショウも首を横に振るばかりだ。 「今、150機を付近の空間に飛ばしていますが……警報は出ていません。ですが、『ヤツらがいない』とも限りません。何しろレーダー波シールドを使われると、大型宇宙艦艇でも小さな宇宙塵(デブリ)にしか『見えない』ので」 「機関室に充電の状況はどうだと聞いてくれ。ヤツらの動向も気がかりだが、時間がないからな。用意が出来ていればすぐにでも準備に掛かりたい」  窓の外に眼をやったままジンが尋ねる。  ……だが。 「……今、充電率は15%だそうです。何しろロングフライトの直後で、バッテリーが空っぽになってましたから」  クルーから悔しそうな声が返って来た。 「ち……っ! だが仕方ないか……」  焦りを募らせるジンの見つめる先には、途轍もなく巨大な『岩』が浮かんでいる。  それも、さっきより確実に大きく、ハッキリと見えている。もう望遠鏡どころか双眼鏡すら必要がない。肉眼で充分の距離だ。 「……ミキ! あれが地球に落下するまで、あとどれくらいだ?」  ジンがブリッジ内に振り返った。 「はい! 『チクシュルーブ衝突体』は計算上、残り32分で地球に激突します」  観測担当のミキが緊張の面持ちでモニターを注視している。  ……眼前に迫りくる直径13.5kmの巨大小惑星、通称『チクシュルーブ衝突体』。無論、これほどの大質量を持つ天体が地球に激突すれば、地球に壊滅的なが起きるのは間違いあるまい。  そして、『だからこそ』何としてもこの衝突を『』させなければならないのだ。……人類を救うために! 「船長(スキッパー)! 『フォーエバー・アース』から入電です!」  通信担当が声を上げた。 「フォーエバー・アース……来たか! スピーカーにつなげ!」  慌ててジンが船長デスクまで飛び戻る。 《……ハロー、国際宇宙開発局の皆さん。我々は『フォーエバー・アース』です》  通信機に繋がれたスピーカーから、女の声が流れる。それはジンの、とてもよく知っている声だった。
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