下手くその下手くそによる下手くそのための。

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小説を書くようになったきっかけは覚えていない。 小さい頃から本が好きで、小さい頃から絵本は作っていた。それが高じて小説を書くようになったが、人にはあまり見せたくなかった。 自分が自身もって書けた小説を母に見せたところ、『なんでそんなの書くの』と言われたから。確かにシリアスだったかもしれないけど、でも。 それ以来人に見せるのが怖くなった。そしてそれと共に小説を書く量が増えていった。 でも、顔を知らない人になら。自分の小説を見て、認めてくれる誰かがいるんじゃないか?そう思って投稿サイトを探すようになり、中1で見つけたのが、エブリスタ。恐る恐る入ってみて、投稿してみて。 初めてスターをもらった。コメントをもらった。嬉しかった。 思うほどスターは伸びなかったけど、フォロワーさんは3人くらいできたと思う。 でも、通知の消し方がわからず、母の端末でこっそりやっていたので、たった1週間ほどで退会してしまい。 自分のタブレットを中古でもらって、再びエブリスタに戻ってきたのは去年。 そして、エブリスタ10周年を迎えた日から4日後、俺もエブリスタに戻ってきて1年が経った。 小説を書くのは好き。でも一度どうして自分が小説を書くのかわからなくなった事がある。 順位が上がらない。スターが伸びない。コンテストは落選する。 どうして。もっともっと書かないと。もっと書いて、受賞して、ランキングにも載って… そんな事だけ考えていたら、小説が面白くなくなった。ただ、いい話。何か薄っぺら。そして気付いた。 ああそうか、自分は自分のためだけに小説を書くのが好きだったんだ。誰かのためじゃなく、自分を他の世界に連れて行くため。 ふ、と肩の力が抜けた。どうせ自分は下手くそだ。下手くそなりに楽しまないと。 肩の力を抜いて、のびのびと下手くその道を歩む事にした。 そしたら、ランキングに載れた。相変わらずコンテストには落ちたけど。 下手くそは下手くそなりに下手くその力をのびのび出せばいいんだ。 俺は小説が好きだ。 感謝を伝えたい人がいる。 俺が中1でエブリスタに来た時、初めてスターをくれて、初めて俺の作品を褒めてくれた人。 誰だったかもう覚えていない。でも、その人の言葉がずっと残っていて、力になっている。その人が今もエブリスタで活動しているかわからないが、ずっと感謝している。だから、いつか見つけて、ちゃんとお礼を言いたい。 ここで、制作仲間を見つけて。切磋琢磨できる人を見つけて。尊敬する作家さんを見つけて。 中学生活辛い事がたくさんあって。たくさんここでいろいろな事を言ったけど、みんな優しかった。自分が間違っていることもたくさんあっただろう。人生の先輩たちは言いたいことだっていっぱいあっただろう。でも、優しく受け止めて、少しずつ立ち上がるのを手伝ってくれた。顔を見たこともない、ここでしか繋がっていないのに。それでも、1人の中学生に寄り添ってくれたことを、俺はずっと忘れないと思う。 エブリスタはいいところだ。別なアプリではを言ったりそういうサイトのURLを送りつけてくる人がいた。でもここはそういう事はおろか傷つける事を言う人もいない。みんな純粋に小説が好きだ。 エブリスタン(10周年ラジオでそう言っている人がいてとても気に入った。)はいい人ばかりだ。ここに戻ってきてよかったと思う。 これからも、下手くそは下手くそなりに、ここで小説をちょまちょま、時に嫉妬し時に喜びながら、書いていこうと思う。
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