昼星の駆ける空

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「知ってるか?屋上に出るんだってよ、去年自殺した北川の幽霊!」 「定番すぎないか?それにどうして幽霊になるんだよ、うらめしやって言おうにも恨めしいことなんか何もなかっただろ。」 昼休みに隣のクラスの奴らが話しているのを聞いた。 その通りだ。彼は自らに夜空を駆けるための翼を生やして星の仲間入りを果たした。  地縛霊とは真逆。 彼を表すのにぴったりな言葉「幽霊」以外に何かないだろうか。 いるのかいないのか分からないのに、確かな存在感だけがある。 ふと、あの詩を思い出した。 昼の星は見えないけれど確かにある。 強く、やさしいやさしい光を放って。 星となった彼にぴったりだ。
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