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「亜羽田さん、いつもありがとうございます。お先に失礼します」
僕は亜羽田さんの言葉に甘えて、帰宅することにした。
休憩地を後にすると、愛車のオートライトピカが停めてある基地の正門駐車場へと向かう。オートライトピカは僕の自慢の愛車だ。
オートライトピカが初めて販売されたのは僕が産まれる10年以上前のことで、もう30年は経っている。だけど、その性能は今現在、生産されている自動車の中で一番優れている。
その理由は生産しているミネハタ社にシステムを開発できる人は疎か、過去の開発者が残したプログラムを理解できる人間がいなくなったからなのだ。
年々減っていると聞いた。
僕のような者が産まれたのは奇跡だと、両親は喜んだ。そのおかげで僕は国のために働いていて、賃金も他の皆んなよりも多く貰っている。
勿論僕の能力には感謝している。でも、僕がもう少し優れていたら、あの星が降り続ける原因を突き止められたはずだ。
汚染された星。
僕等を汚染した星。
これから先、汚染された僕らの知能は更に低下して行くのだろうか?僕は将来、このオートライトピカにも乗れなくなってしまうのだろうか?
僕はそんな事を頭の中で思い巡らせながら、オートライトピカを走らせる。
早くあーちゃんの元へ帰りたい。
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