Friends ―朱里くんとタコちゃん―

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 それは小学校に入って学校に少し馴染み始めたころだ。  俺たち兄弟は金色の髪に青い目で嫌でも目立った。  さらに兄貴の影響もあり、小学校に入る前からどうやら噂にはなっていたらしい。 「お前がまぬけな道管(どうかん)の弟か?」 「全然似てねえな!」  一年生は他の学年に比べ、早くに授業が終わる。  給食を食べた後、帰宅しようと教室を出た先で兄の同級生と思われる奴らにそう言われ笑われた。  確かに兄貴は弟の俺から見ても要領も悪いくせに顔がいいし、優しいから女子には人気がある。  きっとそれを妬まれてコイツらにバカにされているのがなんとなく分かった。  バカにされても言葉の意味も分からずヘラヘラ笑っている兄貴の顔が浮かんだ。  それを思い出すとなんとなく胸の奥に苦い黒いものが広がっていく気がした。  アイツはいつもそうだ。  怒ることはほとんどない。  いつもヘラヘラ笑っている。  そんなことを考えていると、兄貴の同級生たちはギロリと俺を睨んだ。 「なんだよその目は!何か言いたいことがあるのか!」  そのときだ。  この目について言われたのが。  何も言わなくてもこの目で相手を見るだけでこうやって嫌われる。  ましてや弱そうでヘラヘラしている兄貴とのギャップが良くない。  何か言うべきか悩んでいる間にリーダーっぽいやつが、俺を突き飛ばしてきた。  いきなりの事だったから、そのまま俺はしりもちをついてしまった。  その様子を見て何が面白いのか、そいつらは笑っていた。 「やっぱ道管の弟も名前どおり、女みたいに弱いな!」 「緑ちゃんに朱里ちゃんだしな!」  名前をバカにされて、俺は頭に血が上ってそう言ったリーダー格のやつに掴みかかった。  不意打ちを食らったそいつは驚いた顔をしていたが、何せ相手は6年生。入学して数カ月しかたっていない俺とは体格が違いすぎていた。  頭を掴まれ、引っ張られる。 「ボクの弟に何するんだ!」  そんな時飛び込んできたのは兄貴だった。
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