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兄貴が怒り、持っていたカバンでソイツを叩いたのだ。
兄貴の同級生たちもいつもは何を言われてもヘラヘラして何もしてこない兄貴の見たことない姿に少し驚いていたようだった。
でもそれはそいつらの
とくに叩かれたリーダー格のやつの怒りを買ったらしい。
「緑ちゃんのくせに何すんだよ!」
そのあとは俺のかわりに兄貴が殴られることになった。
途中で兄貴と一緒にいた女の子が先生たちを呼んでくれて、大ごとにはならなかったが……。
―――情けないことに俺はその場で座ってみていることしかできなかった。
いつもの締まりのない顔に戻った兄貴は「朱里が無事でよかった」と、またヘラヘラ笑いだした。
それがなんだか悔しくて
情けなくて
―――すごくムカついた。
何に対してとか理由は分からないけど、とにかくムカついた。
もしかしたら、兄貴の姿が少し憎たらしかったのかもしれない。
それからだ。
俺が人とあまり関わらなくなったのは。
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