Friends ―朱里くんとタコちゃん―

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「それより今の歌すごく良かったけど誰の?あんたの?」  ―――華やかで  聞いているこっちも元気が出るような歌声  忘れ物を届けようと思って食堂まできたのだが、ここへ導いたのはその歌声。  その声の主が気になった。 「モモ。親友の姫凛(ひめり)(もも)の歌だよ。」  リボンのその子は、似合わない少し濃いめのメイクの顔でにっこり笑ってこたえてくれた。  その顔が不自然で俺は思わず、笑ってしまった。 「ちょっと!?何?私、変なこと言った?」 「ゴメン。そのメイクがあまり似合ってないから。」  少し戸惑う姫凛桃の親友さんに俺は笑いをこらえて答えた。  言ってから気が付いたが、初対面でかなり失礼なことを言った気がする。  だけどその子は怒りもせず驚いて、雑誌を開いた。 「そんなはずはないんだけど……、ほら、雑誌に書いてあるようにやったんだよ!」  そう言って、開いたページにはキレイに整った顔のモデルが写っている。  どうやら、この人をまねてみたようだ。  慣れない化粧を何度もしているのか、少し肌が荒れているように見える。 「あんたの場合はそういう派手な化粧するより、その横の化粧水とかで整えるだけでも変わると思うんだけど。」  俺がそう言って、メイク特集の横で書かれた肌を整えるための手順のコーナーを指さしてそう言った。  この子に必要なのはまずは基礎だろう。  その子は目を丸くして驚いていた。 「道管くんは男の子なのに詳しいね。すごい。」 「別にすごくはないよ。思ったことを言っただけ。」  リボンのその子は雑誌と俺の顔を見比べ何か少し考えていた。  それを何回か繰り返した後、何か思いついたかのようにポンと手を叩くとガタリと立ち上がった。 「私、筒島(つつしま)(こずえ)!君みたいにキレイになりたいから、いろいろ教えて!」  それが、赤いリボンの変わり者。  筒島さんとの出会いだった。
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