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智樹はこのメッセージが来た夜に首を吊って自殺した。
この女からのメッセージと自殺が頭の中で結ばれた時、背筋に氷を滑り込まれたような寒気が走る。
智樹が言っていた女はこの女に違いない。智樹は自殺なんかするような男じゃない。この女に殺されたんだ。だとしたら、俺も殺しにやってくる。
俺と智樹の共通している過去を辿れば、この女はそこに必ず居る。
本棚に立て掛けてある中学の卒業アルバムを取り出し、乱暴にページをめくっていく。智樹と同じクラスになったのは、中学三年生の時だけ。あの女が居るとしたらここしか考えられない。
十年以上前の自分の顔と智樹の顔が見えてページをめくる指が止まる。女子の顔を左から右に流すように見ながら、フェイスブックに女の顔を表示させた。
二度、三度と見直すが、合致する顔は見当たらない。しかし、俺はあることを思い出す。このクラスには、もう一人女子生徒が居た事を。
でも、その女子の顔も名前も思い出せない。わかっているのは、自殺をしてこの世を去ったということだけだ。
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