友達かもしれません

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 俺は智樹以外で唯一電話番号を知っている同級生をアドレス帳から探し出す。  修学旅行で同じ班になり、その場のノリでアドレスを交換しただけの男子。  その男子の名前をタップしてコールするが、電話に出る気配が無い。すぐに留守電に切り替わる。  小さく舌打ちをして電話を切ろうとした時、電話口からか細い声が聞こえてくる。 「コノヒト……モウ……シンデルカラ」  その声は女性のものだった。  間違えてかけたのかと耳からスマホを離して画面を確認するが、やはり間違ってはいない。 「やめろ……やめてくれ!」  スマホをベッドに叩きつけて頭から布団を被って丸くなる。  頭を抱えながらどうするべきか考える。明確な解決策は見つからないが、一人で夜を過ごさない方が安全な事だけはわかる。  今日に限って母は夜勤で病院に行っていた。  追い込まれた俺はバイトの後輩に連絡して家に来てもらうことにした。  数時間後、後輩はコンビニで買った弁当を下げて家にやってきた。 「先輩、お化けが怖くて俺を呼ぶなんて可愛いすぎでしょ」  俺の部屋に入るなりそう告げた後輩は、弁当をテーブルの上に置いて上着を脱いだ。
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