265人が本棚に入れています
本棚に追加
「うるせぇな。お前に俺の気持ちが分かるかよ……。まぁでも、来てくれて助かったよ」
スマホを弄りながら俺がそう呟くと、後輩は本棚から漫画を取り出して腰を下ろした。
「今度ラーメンおごってくださいね! でも俺、夜勤明けで寝てないから寝てしまう可能性大っすけどいいすか?」
「あぁ、何か起こったら起こす」
それから、特に何もすることなく時間は流れていく。
後輩は話していた通り、漫画を読んでいる間に眠たくなったのかカーペットの上でいびきをかいている。
俺は後輩にブランケットを掛けてから照明を落とし、布団の中にもぐりこんだ。
スマホをタップして時間を確認すると、深夜一時を回った所だった。あと五時間。あと五時間もすれば夜は明ける。
そう思った直後、窓ガラスから小さな石がぶつかったような音が聴こえてきた。
コツン。
その音に肩をビクつかせながら震えていると、再びコツンと音が鳴る。
「おい、良助! 起きろ……なぁ、良助」
布団を被ったまま後輩を呼ぶが、目を覚ます気配は無い。
その間も音は聞こえ続けている。
コツン。コツン。ゴツン。ゴツン。
少しずつ音が大きくなり始めた。
「止めろ! 俺はお前を虐めてなんかないだろ! お前を虐めた奴は他にいっぱいいるだろうが!」
恐怖で布団から顔を出すことが出来ない俺は、大声で叫ぶ。
最初のコメントを投稿しよう!