265人が本棚に入れています
本棚に追加
通話ボタンを押すと、いつもの智樹とは正反対の暗い声が聞こえて来る。
「謙一、今大丈夫か? あのさ……ちょっと相談したいんだけど。お前、フェイスブックってしてたっけ?」
「いきなりどうしたんだよ」
「いいから教えてくれ!」
「あぁ、一応登録はしてるけど、最近何も更新してないな。で、そのフェイスブックがなんだって?」
「フェイスブックにさ、友達かもしれませんリストってあるだろ? 一週間前からそこに変な女が居てさ、今日そいつからメッセージが来たんだよ」
話の内容に身構えていた俺の肩の力が抜ける。
「なんだよ、ただの逆ナン自慢かよ。俺はてっきり重い病気にでもなったのかと思ったよ。で、どんなメッセージが来たんだ?」
「そのメッセージが気持ち悪いんだよ。読むから聞いとけよ? 【久し振り。今夜会いに行くね】。どう思う? かなり気持ち悪くないか? お前笑ってるけどな、会った事もない女からこんなメッセージ来てみろよ。気分最悪だぞ」
智樹が言う通り笑っていた俺は、「ただの送り間違えじゃねーか?」と言葉を返す。それでも納得していない様子の智樹は、「もういいよ。別の奴に相談するから」と言って電話を切った。
最初のコメントを投稿しよう!