友達かもしれません

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 通話ボタンを押すと、いつもの智樹とは正反対の暗い声が聞こえて来る。 「謙一(けんいち)、今大丈夫か? あのさ……ちょっと相談したいんだけど。お前、フェイスブックってしてたっけ?」 「いきなりどうしたんだよ」 「いいから教えてくれ!」 「あぁ、一応登録はしてるけど、最近何も更新してないな。で、そのフェイスブックがなんだって?」 「フェイスブックにさ、友達かもしれませんリストってあるだろ? 一週間前からそこに変な女が居てさ、今日そいつからメッセージが来たんだよ」  話の内容に身構えていた俺の肩の力が抜ける。 「なんだよ、ただの逆ナン自慢かよ。俺はてっきり重い病気にでもなったのかと思ったよ。で、どんなメッセージが来たんだ?」 「そのメッセージが気持ち悪いんだよ。読むから聞いとけよ? 【久し振り。今夜会いに行くね】。どう思う? かなり気持ち悪くないか? お前笑ってるけどな、会った事もない女からこんなメッセージ来てみろよ。気分最悪だぞ」  智樹が言う通り笑っていた俺は、「ただの送り間違えじゃねーか?」と言葉を返す。それでも納得していない様子の智樹は、「もういいよ。別の奴に相談するから」と言って電話を切った。
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