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翌日、バイトに行く準備をしている俺の前に青ざめた顔の母がやってきた。
「謙一、智樹君が……智樹君が亡くなったって……智樹君のお母さんから」
聞き間違いかと思った俺は、震える声で母に問い掛ける。
「今……なんて?」
「部屋で、首を吊って亡くなったそうよ。あんた、仲良かったんでしょ? 何か相談とかされてなかったの?」
中学時代に何度も遊びに来ていた智樹の死が母もショックなのか、瞳に涙を浮かべている。
その母の顔を見て、智樹が死んだ事が嘘ではなく真実である事に頭の中が白くなった。
「嘘だ……あいつ、昨日もくだらない相談してきたくらいなのに。自殺なんてするはずねーよ!」
「本当にくだらない相談だったの? 智樹君は真剣だったんじゃないの?」
確かに、あの時の智樹は様子がおかしかった。いつもの智樹なら、悪戯メッセージなんて無視していればいいと思ったはずだ。
智樹の言葉を思い出しながら固まっていると、「明日の夜がお通夜らしいから、予定入れないようにね」と囁くように告げて部屋から出て行った。
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