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遠くに見える山を見ながら来た道を下る、頂上の少し肌寒い位の気温から段々と蒸し暑く肌がベドつく気温になってきた。
全体の半分を過ぎた頃、丸山さんが「先生、その髪型可愛いいね」と言った。
私は自分の髪を団子にまとめた部分を触りながら答えた。
「今度は髪型弄りですか?でもそれは許します。実は今日テレビの取材あるからってクラスの女の子達が考えてくれたんです。
最初はセーラーサーンみたいなツインテールだったんですけど、流石に年齢制限で無理って言ったら、先生の年齢に合わせて考えて来たって」
そう言うと前の方にいたみっちゃんが得意気に「凄くよく似合ってて可愛いい。先生は普段もサッとした結び方しかしてないから、お洒落にしたら彼氏ができるかなって思ったんです」と言った。
「美紀さん、先生の普段のもサッとした様子までバラすのやめて下さい」と笑いながら言うと丸山さんが「先生、子供にめっちゃ彼氏いじりされてるよ」と笑った。
「ここの子達みんな優しいんですよ、私のこと心配してくれてるんです。ホワイトアンドブラックっていうバンド知ってますか?」「そりゃあ知ってるよ」
「ホワイトアンドブラック好きって言うと、自由帳に似顔絵描いてきてくれたり
いつも私がジャージしか着てないってファッション雑誌の切り抜きで一週間のコーデ作ってきてくれたり
私が風邪ひいて学校休むと、みんな麓の私のアパートまでお母さん同伴でお見舞いに来てくれて、だから滅多な事では休めなくなりましたけど。みんなすっごく優しいんですよ」
そう言って笑うと丸山さんも優しい顔で笑った。
「優しすぎて、結婚相談所のチラシとかは朝教室入ったら三日に一回は教卓に置かれてたりとか、
後はお見合いのテレビあるじゃないですか?あの募集要項とか汚い字で自由帳にうつしたやつ置かれてたことありますよ」
そう言うと優くんが「それ俺」と得意気に言ったので「優君、優しい気持ちは嬉しいんだけど、字綺麗にかいてね。先生読めなかったから」
そう言うと優くんは「はい」と元気よく返事しみんなが笑った。
「何ていうかそういう結婚圧は強いですけどね、みんないい子達なんですよ」
丸山さんが不思議そうに「この子達、何でそんなに結婚にこだわるんだろ?」と言った。
私は丸山さんの耳元で「親が家で言ってるんでしょうね、35で独身なんて可哀想だって」と呟いた。
丸山さんは「あー」と納得したように頷いた。
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