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高志は、怖くない。可愛い。
べたべたの手とか、ドロドロの服とか、うっと思うことはあるけど、でもちっちゃな手で抱き付かれるのは嬉しい。
子どもなんて苦手の極致だったわたしが、赤ちゃんから四~五歳の子であればまぁまぁ許容範囲かなって思えるようになれたのは、ひとえに高志がうちに来てくれたおかげだと思う。
「おーい、タカシ。それ持ってってもいいけど、ラップに包んで置いてってもいいぞ」
と、そのときよく響く男の人の声がして、保育士の山内先生が現われた。
うわっ、今日土曜日なのに出勤だったんだ!
朝はいなかったから遅番かな?
「家に持って帰っても作らないだろ。作りたてでいきなり乾かすと割れちゃうかもしんないからな。来週、続き、やるか」
「うーん、じゃあそうしよっかな!」
あぁあ、今日も素敵。
デザインちっくな眼鏡にストローっぽい夏素材のキャスケット、おしゃれ親父って感じに決まっている。
彼、ザ・四十代って感じのそんなに特徴のない見た目なんだけど、何故かわたしには、色気があるように見える。
独身だからかな?
彼女はいるのかなあ、それは聞けてないし、いるともいないとも噂になっていないけど、もしかしたら伴侶ゲットのためのフェロモンとか、出てるのかもなって思っちゃう。
まぁ、単に彼女とお熱いだけかもしれないけど……あ、ダメ。それ考えると哀しくなる。
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