episode 01. こっそりはぁはぁ妄想女子。

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背、高くない。わたしと同じくらい。 目、大きくない。鼻、高くも低くもない。髭、ちょっと濃い。 痩せても太ってもいない。気持ちむっちりしてるかなぁ、子ども相手で体力を使うせいだろうか、首とか腕が太くてお尻がぷりんとしてるのとか、とってもいいなって思う。 妹とか友達に言ったら、だから何? 何か行動しなよって言われちゃいそうな、個人的な会話の皆無な仲だけど、わたしは山内先生のことが気になって気になってしょうがない。 キックとかパンチとかしてこらぁって捕まえられて、放り投げる真似とかしてもらっちゃってるやんちゃ坊主が、正直、本気でうらやましい……。 ああ、あのむちっとしてて、筋肉質な彼の躰。 ぎゅうぎゅうって抱きしめさせてもらえたら、きっと気持ち良いだろうな。 六月下旬、午後六時。 汗臭いかな? それでもいいかな……むしろ嗅ぎたいかも。 ぎゅうーってくっついて目を瞑って、乾いてても湿っててもいいから、肌に鼻をくっつけてくんくんしたい。 はぁ……。 なーんて。 実際は、日々、ただ挨拶をして、高志の家での様子を報告しつつ預けて、夕方お迎えに来るだけの関係なんだけどね。 他の先生もいるから、やまちゃんに毎回会えるわけでもない。しかも、普段は近所の保育園に預けているから、この託児所にわたしが来れるのは月にたったの何回か。 会う度に少しずつ仲良くなれたらいいのに……。 やまちゃんは子どもたちにはとっても優しくて、いっぱい声をかけてくれるしにっこにこだけれど、保護者にはわりと素っ気ない。彼の視線は子どもに行っちゃうから、目もあんまり合ったことがないという……。 つまり、彼は保護者には特に興味ないっぽい。
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