真夜中の訪問者

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真夜中の訪問者

あれは確か、蒸し暑い夏の夜だったと思う。 私は二階の部屋でひとりベッドに寝ころび、ミステリーを読んでいた。 ピンポーン!! 階下から来訪者を知らせるチャイムの音が聞こえた。 えっ? 今頃だれだろう? もう、夜の十時を過ぎている。 人の家を訪問するような時刻ではない。 ピンポーン、ピンポーン!! 再び、けたたましくチャイムの音がして、 ドンドン、ドンドンドン!! 激しくドアを叩く音がきこえた。 な、なにごと? 一体、だれ? にわかに恐怖を感じ、緊張しながら階下へ耳をそばだてた。 リビングのドアが開き、パタパタと玄関へ向かう母のスリッパの音がした。 「ど、どちらさま?」 母の緊張した声が聞こえた。
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