僕は独りで夜を越える

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 14歳の2月だった。  僕は背後で響く野球部の声かけをはるか遠くに感じながら、とぼとぼ家路を辿っていた。普段は正門から出るが、今日は北門をくぐって学校の外に出た。    1人ぼっちでの下校にはもう慣れた。  小学校からの友人達は、各々好きな部活に入って楽しくやっているそうだ。  最初の方こそ、「お前もなんか入らない?何もやらんかったら、つまらんやろ?」なんてお誘いがあったが、次第にそれも少なくなっていった。今となっては、「俺、部活。今日も一緒に帰れんわ。ごめん」「ああ、わかった」のやりとりすらない。  でも、僕は絶対部活には入らない。  意地を張ってるわけじゃない。人に言われて始めるのも何となく癪に触るし、先輩にグダグダ言われるのも気にくわない。  僕が自分で最初に決めたことだ。  そこが重要だ。
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