僕は独りで夜を越える

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 「細川」  担任に呼ばれて職員室に行った後、帰ろうと玄関に行ったら細川がいた。  クラスメイトが戻ってくる前に教室を出たのだから、かれこれ1時間は経過していたはずだ。  彼女は僕の声など聞こえていないようで、いや厳密に言うと聞こえないフリをしているようで、自分の靴箱から下履を取り出し力任せに地面に叩きつけた。  「細川!!」  少し語気を強めて背中に呼びかける。  ピタリと動きが止まった。
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