学校の廊下の隅のポスターに惹かれて行くは未知なるところ 

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 学校の廊下の隅のポスターに惹かれて行くは未知なるところ 

『かんたんたんか』  ある日の放課後、校内の掲示板に貼ってある幾多のポスターやプリントの中に、そんな言葉が大きな文字で書かれた一枚を見つけた。    かんたんたんか    はて。どういう意味?  その意味不明さに逆に興味を引かれ、私は掲示板へと近づく。  すると文字の下には細長い紙が二枚貼り付けられていた。 【試験前 勉強してたはずなのに なぜかマンガを読んでるふしぎ】 【実は僕 変温動物なんだよね そういいわけして手をつなぐ夜】  なに? なんの呪文?  ポスターの下部には更になにか書いてあるので視線を向ける。 『短歌部 放課後に化学室にて活動中!』  それを見てやっと理解した。おそらくこの細長い紙は短冊で、そこに書かれているものは短歌というやつなのだ。  確かに、二枚の短冊を見返してみれば、どちらも言葉の音数が五七五七七になっているみたいだ。  掲示板には他にもいろいろな部活の勧誘ポスター等が貼られている。どうやらこの短歌部とやらの紙もその中の一枚らしい。  『かんたんたんか』というのも『簡単短歌』という意味なんだろう。
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