義母・ナオミ

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義母・ナオミ

 もうどれくらい前になるであろう。  この国が、ジョージではなく、先代の王によって治められていた頃のこと。  王の妻であったマリとナオミ、他の女たちは、互いに協力し合いながら子どもたちを育てていた。  幼い息子たちの母親は それぞれ違えども、お互い気が合い仲良く暮らしていたという。  ある日、不意に野蛮な男が現れた。王に戦いを挑みたいというのだ。  それが若かりし頃のジョージだった。  彼の腕前は確かだった。何より若き力に溢れている。  初めは互角な戦いをみせていた両雄であったが、戦闘が長引くにつれ、王のスタミナ切れは次第に顕わとなり、(つい)には降参せざるを得なかったという。  戦いに敗れた先代の王は、直後 崖から身を投げ自ら命を絶った。  彼に代わり新しき王として君臨したジョージは、女たちを全て自身の妻として引き入れた。  更に、先代の王の幼い息子たちは全て、ジョージ自らが手にかけ殺めた。他の男の血をひく子を愛せるはずがないと思ったのか、或いは成長した彼らからの復讐を恐れたのか――
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